日経新聞11/25(日)

国境なき「第5領域」 清濁併せのみ人材確保(1面)

サーバーの脆弱性をつく技術を問うこの問題。3、4日と奈良県奈良先端科学技術大学院大学で開かれた「SECCON(セキュリティーコンテスト)」で出されたものだ。ハッキングを競う17の問題に13?23歳の5チーム20人が挑んだ。

当然、このニュースは、先日4人の誤認逮捕者を生んだパソコン遠隔操作事件に絡めて記事にされているのだが、やはり「ホワイトハッカー」の育成は重要で、米国で20年前からあるこの種の大会が、日本では今年に入ってからというのは遅すぎる感じがする。

大会2日目の午後3時。約10時間に及ぶ激闘を制したのは灘中・高等学校(兵庫県)のパソコン研究部チーム(奥)。2位の大学生チームに大差をつけての優勝だった

優勝チームの最年少の13歳の少年は、入学後に身につけた技術ということで、灘の「パソコン研究部」の育成スキルは相当のものがあるのではないか?夏に見た開成高校のクイズ研究会のテレビ番組(高校生クイズ)での持て囃されぶりを思い出して、同じ文化部なら、クイ研よりはパソコン研究会の方が社会に役立つのでは?などという意地悪な考えが浮かんだ。

「近現代」軸に開かれた歴史教育を(社説)

日本学術会議は昨年、日本史と世界史を統合した必修科目「歴史基礎」を新設するアイデアをまとめた。学術会議は近現代と東アジア地域を意識した内容を念頭に具体案を詰めている。

その通りだと思う。自分は理系出身と言うこともあるのか、小中高を通じて、近現代史について学校で学んだ記憶に乏しい。中韓だけでなく、記事で取り上げられているように、インドネシアやグアム、フィリピンなど、旅行先で初めて歴史を学ぶことがいかに多かったことか。
社説後半部では、こうした科目の再編以外に、丸暗記に偏りがちな授業を見直す必要性についても述べられている。周辺国とのディベートを意識すれば「なぜ、そうなったのか」「そのとき、もし別の道を歩んでいたら……」といった思考力が大切だと説く。
そして、そういった歴史の教養を深める必要があるのは、社会人も同じだとする論旨の展開は、非常に納得が行くものだった。円周率を「およそ3」て教えられのはどうかなどと、教育内容のみを批判するのは恥ずかしいことで、常に自分がどう学ぶかどう考えるかに置き換えて考えたい。

スー・チー神話」に陰り

19日のオバマ米大統領ミャンマー訪問は歴史的だった。特に人権抑圧を続けた軍政に対する抵抗の象徴だったアウン・サン・スー・チー氏との会談は変化を印象づけた。が、少数民族問題は相変わらず深刻であり、スー・チー氏に対する風向きの変化も感じさせる。

記事で取り上げられているのはロヒンギャ族、アラカン族についてだが、少数民族地域での開発では、人権侵害が絡むことがあるという。記事の結びにあるように

ミャンマーが中国の影響かに落ちるのを防ぐためには日本や米国による支援がいる。だが人権を忘れた支援に陥れば、人権、民族問題を抱えて栄える「小さな中国」ができる。

ミャンマーについては、スー・チーさんの映画もあるし、そういうものでもう少し知っておきたい。

 →過去日記:高野秀行『ミャンマーの柳生一族』感想

ロケット発射、たった「2人」で 人工知能が自動点検(15面・サイエンス)

来夏、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から新小型ロケット「イプシロン」が打ち上がる。たった2台のパソコンで点検や発射の作業をこなす世界初の「モバイル管制」に注目が集まる。宇宙航空研究開発機構JAXA)やIHIエアロスペースが共同開発した。国産小型ロケットの打ち上げは世界最高性能を誇った「M―5」ロケットの引退から7年ぶり。宇宙への新しい扉が開く。

宇宙熱盛り上がる中、目にすることの多い新型ロケットのイプシロンの記事。人工知能によって、射場作業期間(1段据え付けから打ち上げ翌日まで)は42日かかっていたのが7日に短縮でき、その他の工夫も含めて打ち上げコストがM-Vの3割弱安く抑えられるという。
来年夏の打ち上げは、科学衛星「SPRINT-A」を搭載し、4段ロケットを追加する。
記事の中で、比較対象に挙げられている主要小型ロケットは、ペガサスXL、ミノタウルス、ミノタウルス4、トーラスXL(米国)、ベガ(欧州)、ロコット(欧州/ロシア)、ドニエプル(ロシア)で、先日勉強したロケットと顔並びが違うのは何故だろうか。

 →過去日記:宇宙キター!〜的川泰宣『宇宙ロケットのしくみ(子供の科学サイエンスブック)』

読書欄

ザ・チーム 日本の一番大きな問題を解く

ザ・チーム 日本の一番大きな問題を解く

智恵子抄ではないが「日本にはチームがない」と、日系人の著者は言う。「組織ではなくチーム」という主張は直感的に正しく聞こえる。久しぶりにビジネス書にもチャレンジしたい。

米国の企業が再生した背景には、学校がボランティア活動などを推奨し、チーム力を育てたことが見逃せない。日本は偏差値教育からいまだに抜けきれず、企業の縦割り組織や減点主義はリスクをとる人間を葬ってしまった。


世界しあわせ紀行

世界しあわせ紀行

幸せとは何であるかを求めて世界を旅したアメリカ人ジャーナリストによる本。「どうやって幸福を測ればいいのか」という難しいテーマに迫る内容のようで興味をそそられる。スイス、ブータン、タイ、インド、アイスランドなどが取り上げられている。
 →過去日記:不自由という幸せ〜高野秀行『未来国家ブータン』