日経新聞9/2(日)

次の首相を選ぶ戦い、緊迫の自民総裁選(2面・風見鶏)

麻垣康三を覚えておいでだろうか。2006年の自民党総裁選の際、政治評論家の有馬晴海氏が「次の総裁」の代名詞として出馬が有力視されていた麻生太郎ら4氏の姓名を合成してつくった造語だ。

つまり、次期衆院選自民党が第一党になるのは確実だから、次の自民党総裁が日本の総理大臣になるということだ。とはいえ、単独過半数はあり得ないので、どこと組むかが候補者選びのポイントとなる。公明党は当然として、

  1. 民主党と組む →谷垣禎一
  2. 大阪維新の会と組む →安倍晋三
  3. 両方と仲良くできる →石原伸晃

とのこと。どれも魅力的ではないなあ。日韓関係が悪い時期だから河野太郎は名乗り出ないのかな。

→(追記)今回も出られるのですね。本も読んでおきたい。

「超日本」宣言─わが政権構想

「超日本」宣言─わが政権構想

原発事故処理1兆円 来年度概算要求(3面)

環境・文部科学・経済産業の各省は原子力発電に関する来年度予算の概算要求の大枠を固めた。東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、除染やがれき処理などの後始末に1兆円超を計上。将来の原子力発電比率の低下を見据え、使用済み核燃料を地中に処分する技術や原発廃炉技術の開発支援も盛り込む。除染など事故対応は最終的な費用や東電との分担が不透明で、今後も歳出増の大きな要因になりそうだ。

「最終的に費用は賠償を除いても数十兆円に上る可能性もあり、税や電気料金で国民に跳ね返る」という指摘は、まあそうなんだろうと覚悟しなければならないが、「高速増殖炉もんじゅの後継炉の研究開発費が減額されながらも20億円計上されている」というのはどうか。国の原子力製作の決定が、場合によっては、核燃料サイクルの維持方向に進むかもしれない、という「可能性」は分かるが、是非とも撤退してほしい部分だ。

さようなら、もんじゅ君---高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし

さようなら、もんじゅ君---高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし

ロシアの成長、APECに軸 経済連携強化で、貿易額5割目標

ロシアはロシア極東と経済成長が著しいアジア太平洋地域との経済的なつながりを一段と強める。ロシアが初めて主催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催地に極東ウラジオストクを選定。首脳会議を機にAPEC地域との貿易額が全体に占める割合を5割に引き上げる目標を打ち出し、開発が遅れるロシア極東に内外の投資を呼び込む。

記事にも取り上げられている通り、ロシアの極東地域は、環境も良くないし生活費もかかるし、ということでどんどん人口が流出しているという。本来であれば地政学的に重要な位置にあるこの場所が疲弊していくのは問題であり、てこ入れが必要。ただし、巨額のインフラ投資が地元の住民ニーズと離れ、また、新たに整備した道路の一部が雨で崩落する(?)など突貫工事の問題もあるなど、中国と似ている状況にあるよう。日本にとっても非常に重要な場所だから、どんどん恩を売っていけるといい。

→追記:今月号のWEDGEが特集を組んでます。読みましたが、地元もAPEC後が心配のようです。

2012年 米大統領選(3面けいざい解読・5面)

今回の大統領選は12年ぶりに戦争が争点にならない大統領選で、製作がこれほど対照的なのは1964年の(民主ジョンソン大統領勝利の)大統領選以来だという。対立軸は以下の通り。

  • オバマロムニー
  • 社会保障重視/歳出削減(小さい政府)
  • アジア重視/(軽視)
  • 国防費圧縮(アジアの同盟国と負担を分け合う)/国防費積み増し(一極体制を目指す)

米国経済の先行きは厳しく、「財政の壁」と呼ばれる壁にぶち当たるという。
オバマ大統領も経営者団体から「決断する政治を」と(減税の再延長や歳出削減の緩和を)迫られているというが、どこの国も状況は似ているのかもしれない。

人・サルはビタミンC作れず(15面・ナゾ謎かがく)

皮膚や粘膜が弱くなって出血する壊血病は、ビタミンCの不足によって発症する。多くの動物はビタミンCを体内で作るため壊血病の心配はないが、人間やサルは体内で作れず、野菜や果物から摂取しなければならない。体の仕組みにどんな違いがあるのだろうか。

驚いたが、多くの動物は糖(グルコース)からいくつかの段階を経てビタミンCを合成する反応回路を持っていて(ビタミンC不足が原因で起きる)壊血病にかからないのだという。遺伝子に変異が生じたために、人間やサルはビタミンCを作ることができなくなったというが、もし体内で作れていれば、スーパーの飲料品コーナーの商品はかなり様変わりしていたのだろう。

たまる下水汚泥 5万トン 「がれきより深刻」(30面)

福島県内の下水処理施設に下水汚泥がたまり続けている。放射性セシウム濃度は搬出可能なレベルに下がっているが、セメント会社などは受け取りを拒否。敷地内で一時保管が続く。施設の周辺住民は「早く何とかして」と訴えるが、県も国も抜本的な対策を取れないまま、月4千トンのペースで増え続ける汚泥は8月末で5万トンに達した。

現状としては、気密性を高めた(汚泥の袋詰めが並ぶ)テント内の減圧や袋の二重化を施している。今後の対策としては、汚泥を乾燥させて容量を減らす設備を設置する方針とのこと。敷地内のテントは現在61張で、来年中にテントを張る余地はなくなるという。
予想外に敷地面積があるのだということも少し感じたが、地元からすれば、においの問題は勿論、感染症などのリスクも怖く、放射能どころではないに違いない。だから、どこかが引き受ければいい、というのではなく、どんな方法を取ってもデメリットを受ける人がいることを考えた上で、「科学的に妥当な選択」がされることを願います。

読書欄

コンピュータが仕事を奪う

コンピュータが仕事を奪う

「半歩遅れの読書術」で、数学エッセイストの小島寛之さんが、同業者の書いた一般書は基本的に読まないが、例外として読むと挙げている本。数学大嫌い少女が法学部に進学したのち数学の大学院に進んでいるという肩書を聞くだけでも面白そうだ。新井紀子さんの作品で、その他に挙げられている本としては『生き抜くための数学入門』。
また、数学エッセイストとしての生涯の目標として挙げられている以下の本も魅力的。
⇒読みました:考えてわかる「体質」に〜新井紀子『ハッピーになれる算数』(2012年10月)


ゼロから無限へ―数論の世界を訪ねて (ブルーバックス)

ゼロから無限へ―数論の世界を訪ねて (ブルーバックス)

中学生のときから繰り返し読んでいるという、「数学に胸がときめき、数学を大好きにしてくれた本」だということで、これも面白そう。


森林飽和 国土の変貌を考える (NHKブックス)

森林飽和 国土の変貌を考える (NHKブックス)

本の森林は1960年代を底に急速に回復し、現在は非常に豊かな状態。現在の森林で起きている問題と、今後の国土管理のあり方について指摘する本。読んでおきたい。


日本の地下水の状況について、昭和初期の東京や大阪での地盤沈下とそれ以降の地下水位の回復について解説し、原発事故による地下水汚染や地下水の所有権についても触れた本。これも読んでおきたい。