読んで「日垣隆流読書術」以外のタイトルが思いつかない〜『つながる読書術』

つながる読書術 (講談社現代新書)

つながる読書術 (講談社現代新書)

自分の書いた文章の中でも特に好きなものの一つが以下です。*1

日垣隆は、自分にとっては重要な作家で、だからこそ、納得が行かなかった思いを書き綴った渾身のエントリが書けたのだと思います。そんな日垣隆の本を取り上げるのは、少し構えてしまう部分があり、今回も、書くのが面倒で、しばらく放置しておいてました。(笑)


さて、今回の本。一通り読んで振り返ると、面白くないわけではありませんが、何だか上手く誤魔化されてしまった感がありました。
上述した『すぐに稼げる文章術』ほど、酷い羊頭狗肉ではないし、本文自体も誘導が上手いので、すぐには気がつきませんでしたが、自分がタイトルを見て「読んでみたい」と思った内容とは少し違っていたというのが、違和感の原因です。


読書というのは結局のところは個人的なもので、「つながる」を志向すると本来の読書から離れるような気もしています。一方で、以前からこうやって書評を書くなど「人とつながる」読書には興味があり、月一度の読書会にも参加していた時期があったし、スゴ本オフやビブリオバトルも体験してみました。
世間一般でもソーシャルリーディング(未体験)なんていう言葉もよく聞くようになり、このタイミングで、(以前から読書会等を積極的に開いている)日垣隆が「つながる読書術」で出す本、ということで、非常に気になっていた本でした。


でも、読んでみたら、少し違っていたのです。
自分のような浅はかな読者がいることを想定すれば、最も本文の内容とぴったり来るタイトルは『日垣隆流 読書術』です。これはこれで読んでみたいタイトルだし、このタイトルでこの本を読めば、スッキリした読後感を味わえていたことでしょう。『つながる読書術』などというマイルドなタイトルにしてしまったことが誤解を生む原因になりました。


もしかしたら作者も意識的なのかもしれません。
わざわざ「まえがき」部分に、「つながる」に込めた5つの意味について語っています。

  1. 読んだ本から次の本へと「つながる」
  2. 本を経由して人と人とが「つながる」
  3. 人を通して本と「つながる」
  4. 本によって無知・未知・無関心世界と「つながる」
  5. 思ったことを即行動に「つなげる」

確かに、これに沿った内容が書かれています。ただ、自分がタイトルから想定した内容は、2がメインで、読んだら自分も読書会に参加したい、もしくは開催したい、と思える本であることを期待していたのです。勿論、部分的には『つながる読書術』に含まれますが、やはり「日垣流読書術」の紹介という側面が強く、そういう意味では「他人事」として読んでしまいました。


さて、一方で、この本を読んで読みたくなった本というのは多数あり、それはそれで「つながる」読書の大きな要因であるわけです。
特に、これだけの読書家が、結構な割合でベストセラーや軽めの本(ブームになってからの新書等)を恥ずかしげもなく推しているのも面白いです。
以下、巻末の「読まずに死ねない厳選100冊の本」から気になる本を抜粋。

聖の青春 (講談社文庫)

聖の青春 (講談社文庫)

小説と思っていたらノンフィクションだったのですね。以前に友人からブログコメントで薦められた覚えがあります。

新装版 サンダカン八番娼館 (文春文庫)

新装版 サンダカン八番娼館 (文春文庫)

東えりかさんがHONZの「ノンフィクションこの10冊」で薦めていた本なので、これは是非読みたい。
http://honz.jp/2931


走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

こういう場で村上春樹を挙げてくる人は、心に余裕があるのだろうなと思います。でも行動に繋げられる本ということで、興味あります。


ボロボロになった人へ (幻冬舎文庫)

ボロボロになった人へ (幻冬舎文庫)

短編集で、死刑をテーマにしたものもあるとか。リリー・フランキーは、おでんくんしか知らないので、大ベストセラー『東京タワー』と合わせて読みたいです。


恋 (新潮文庫)

恋 (新潮文庫)

「恋愛小説の最高傑作」とまで言われると読みたくなります。小池真理子はもしかしたら読んだことがないのかも。


利己的な遺伝子 <増補新装版>

利己的な遺伝子 <増補新装版>

今さらな感じもしますが「科学ノンフィクションの最高傑作」みたいな書き方をしているので。そういえば、ビットワールドの新キャラがミームだった。


まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)

まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)

言われなくても読みます。


聖☆高校生 1 (ヤングキングコミックス)

聖☆高校生 1 (ヤングキングコミックス)

全く知らない漫画が入っているのが気になります。何故入れた?


国語入試問題必勝法 (講談社文庫)

国語入試問題必勝法 (講談社文庫)

清水義範は高校時代に一通り読んだので懐かしいです。先日のビブリオバトルでも紹介している方がいたので、20年ぶり(!)に読み返そうかと思います。

黒いスイス (新潮新書)

黒いスイス (新潮新書)

新書ブームのピーク?の頃に、いろんな人が薦めていた本なので、そろそろ読みたいです。


クマムシ?!―小さな怪物 (岩波 科学ライブラリー)

クマムシ?!―小さな怪物 (岩波 科学ライブラリー)

「理屈抜きに面白い」という評価。「ツノゼミ」なんかと合わせて読みたいです。


人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)

人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)

動物保護運動の虚像―その源流と真の狙い

動物保護運動の虚像―その源流と真の狙い

2000年間で最大の発明は何か

2000年間で最大の発明は何か

すばらしい人間部品産業

すばらしい人間部品産業

ブックオフで100円で買える文庫や新書と、もう少し背伸びして面白そうな本が入り乱れるリストになっています。特に最後の本は福岡伸一訳ということで、実は未読の福岡伸一本とあわせて読みたい


封印再度 (講談社文庫)

封印再度 (講談社文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

後者は映画も見ろとのこと。東野圭吾はごく初期のものばかり、森博嗣すべてがFになるしか読んでいないので抑えておきたいですね。


透明人間の告白 上 (河出文庫)

透明人間の告白 上 (河出文庫)

シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)

シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)

どちらも家にあるので読みますよ。
シャドー81は、スゴ本dainさんのビブリオバトルでのプレゼンとTシャツが印象に残っています。


ということで、『つながる読書術』=『日垣隆流読書術』+「オススメ100冊リスト」でした。

*1:大石英司さんにブログで取り上げてもらった関連で、おそらくこのブログ内の最多アクセス記事になっており、また久恒啓一さんにもコメントをいただいた。