なぜ姫川亜弓は成功し続けるのか〜美内すずえ『ガラスの仮面』4

ガラスの仮面 (第4巻) (白泉社文庫)

ガラスの仮面 (第4巻) (白泉社文庫)

姫川亜弓が髪型をショートカットにして「王子とこじき」で好評を博している間に、北島マヤは演劇部の代役〜アイドル映画のチョイ役、そして劇場への飛び込み営業までして、芝居を続けようとします。何度も書きますが、あしたのジョーでジョーが表舞台に立てなくなってからドサ回りをするシーンが思い出されます。(どん底→ドサ回りから這い上がるという流れは、ガラスの仮面の黄金パターンと言えます)
そして、終盤では、マヤが「嵐が丘」のキャサリン(子ども時代)役のオーディションを受けますが、「ふたりの王女」(14巻)のときと異なり、オーディションは他の候補に完敗しながらも、可能性のみで合格という珍しい展開になっています。ところが、この舞台において、マヤの「舞台あらし」ぶりは最高潮に達してしまうのです・・・。


さて、亜弓さんの凄いところは、努力家であるところ。役作りのために、実際に路上生活を始めるなんて、中学生の女の子の発想ではあり得ません。髪も自分でジョキジョキ切り落としているし。
こういう自分を変える努力が次々に報われるという意味では、亜弓さんは恵まれているように見えますが、やはり水面下での高速の水かきがあってこそなのでしょう。天然系、動物的、本能の娘であるマヤよりも、努力型天才の亜弓さんを応援してあげたい。