図書館と僕(5)自分にとっての名作絵本

図書館よりも、本屋の方が、面白い本に出会えるのではないか、と思う人は多いかもしれない。
たとえば絵本。
少し大きな書店に行けば、児童書コーナーには「売れ線」だけではなく「名作」と呼ばれるタイプの絵本も沢山並んでいる。
したがって、通常の絵本なら、本屋の方が探しやすかったり、「名作」に出会いやすかったりするかもしれない。
ところが、自分にとって、図書館の方が書店よりも優れているといえる明確なポイントが1つある。

それは、物語系以外のジャンルの本との出会い


自分の子ども時代からの読書傾向もあり、よう太と図書館に行って本を借りるときは、なるべく、物語系のみにならないようにしている。
たとえば、かこさとしの一連のシリーズのような「体のしくみ」系の絵本。


しかし、このような本は、書店では探しにくい。少なくとも、平台には並んでいない。したがって、単純に、書店での本探しは自分には合わない。ご飯の種類は、いくらでも選べるが、味噌汁はインスタント一種類だけしかありません、みたいなメニューの定食屋があれば、それに近いかもしれない。
また、書籍としては棚に並んでいたとしても、著者名順であれば埋もれてしまう。先日挙げた『ぼくらの地図旅行』のような傑作も、きっと一般書店にもあるだろう(それを望む)が、ジャンル分けがされていなければ、出会える可能性は低いと思う。


さて、名作絵本について。
上の文で、名作に鍵括弧をつけて「名作」としているのは、何だかよくできた物語系の本ばかりが「名作」ともてはやされる傾向が好きでないからだ。本が、子どもにとって、それを通して世界を知る扉のようなものであるのならば、科学系・社会科系の本こそが、その王道であるような気がするのだ。そして、図書館こそが、その王道の名作絵本に出会える近道である。(上から目線 笑)


という観点から見た、最近のヒット本。

ぼく、だんごむし

ぼく、だんごむし (かがくのとも傑作集 どきどき・しぜん)

ぼく、だんごむし (かがくのとも傑作集 どきどき・しぜん)

これはいいです。
特にダンゴムシの食べ物にびっくり。
ゴミや新聞紙、段ボールなんかは、「それは当然食べるだろうよ、ふふん」と思いながら読んでいたが、石やコンクリートを食べるというくだりには、家族みんなで衝撃を受けた。
写真絵本「ダンゴムシみつけたよ」も詳しくてよかったのですが、この衝撃の事実については触れられておらず、この一点で「ぼく、だんごむし」が上です。(笑)
ダンゴムシみつけたよ (ふしぎいっぱい写真絵本)

ダンゴムシみつけたよ (ふしぎいっぱい写真絵本)

むしをたべるくさ

むしをたべるくさ (ふしぎいっぱい写真絵本)

むしをたべるくさ (ふしぎいっぱい写真絵本)

ちょっと猟奇的。犠牲になるのは、アリやハエ。
これも、親子で驚けて楽しい。写真もものすごく綺麗で、モウセンゴケの群生とかは、伊藤潤二の描く、狂った世界っぽくて、怖くなってくる。
ハエトリグサは、子どもの頃、父親が買ってきた覚えがあるので、ちょっとしたお店に行けば売っているのかな。

くさる

くさる (かがくのとも傑作集)

くさる (かがくのとも傑作集)

これは、とても良かった。

こうして、いろいろな いきものが
うまれて、しんで、くさり、
つちにとける。
しぜんは なんどもなんども これを
くりかえして、つづいてきた。

大きな視点から自然環境を学べる「環境派」絵本ながらも、表紙とタイトルが、それを欠片も感じさせないところが、慎ましやかでいい。(この画面で見られなくても、Amazonのリンク先では、表紙画像を見ることができるようです。スイカに止まる蠅のアップに紫の背景が映えます。)

むしばミュータンスのぼうけん

今回のエントリの主旨からすると、自分にとっての名作絵本は、この本だろうか。
イメージ的に、虫歯のメカニズムが理解でき、子どもにも歯を磨こう、と思わせる作品。虫歯系の絵本の元祖なのかな?

トマトさん

トマトさん (こどものとも絵本)

トマトさん (こどものとも絵本)

これだけは、上の文章の主旨から外れて、ずっと本屋で気になっていて、図書館で借りた本。
2歳の夏ちゃんのツボにかなりはまったようで、何回も読んで*1とせがまれた。
夏の暑い日、近くに流れる小川で涼しくなりたいトマトさん。虫やトカゲの協力で、涼しくなれてめでたしめでたし、というシンプルな話だが、トマトが転がって水に落ちる描写は、絵本ではあるが、アニメのように動いて見えて楽しい。

*1:まだ喋れないのだが、本を持ってくる