日経概観4/15(日)
成長を考える・第5部 人を生かす(5)/官僚再論/政府の競争力 民も支える(1面)
平成9年大蔵省入省組19人のうち3分の1強の7人が同省を去った、という導入部。ちょうど自分と同学年にあたるので興味深い。以下、要旨。
けいざい解読「独は順風増税 日本では・・・」(3面)
1月に付加価値税の税率を16⇒19%に上げたが、増税の影響が軽微なドイツ経済を例に、日本の増税について簡単に分析。
ドイツの増税成功のポイントは3つ
- 税込み表示が定着しており、業者が増税分を一時的に負担した結果、主な商品の値段は上がらなかった
- 付加価値税が複数税率で、生活必需品を中心とする7%の軽減税率は据え置いた
- 経済の活性化策(法人税率の引き下げ、失業保険の保険料引き下げ)も組み合わせて進めた
ここでの解説では、ドイツの経済の今後が未確定であることもあり、参考にしても日本の消費税増税がうまくいくとはいえない、としている。結びの言葉が皮肉だ。
肥満 食べ物選んで防ぐ
グリセミック指数という言葉がでていたのでなんだろうと思って調べたらGI値のことだった。
GI値の高い食べ物と「見えない油類」(「見た目」のために、パンや惣菜類に多く使われるバターや油)に注意しましょう、という話。
美の美/裸体画との出会い(18、19面)
美術欄で紹介されていた二つの絵が良かった。
- 山本芳翠「浦島図」
西洋画だが、題材は浦島太郎、ということで、滑稽な感じ。
1889年に開校される東京美術学校(現・東京芸術大学)のために相次いで帰国する留学生たち。しかし、設立の中心にいたフェノロサが洋画嫌いで油彩画の学科が設置されなかった。フランスから帰ってきた山本芳翠らは、必要とされず、まさに「浦島太郎」状態、というわけだ。
- 黒田清輝「野辺」
さすがにこの人の名前は知っている。当時の社会を騒がせた「裸体画」。留学先の師ラファエル・コランへのオマージュとして描かれた、この作品には師を思う強い思いが表れているという。
草むらに横たわる裸婦の上半身を描いた、この絵自体は、非常にソフトな感じですが、温かくて、清楚にイヤラシイ感じがして、僕は好きです。新聞紙面がパッと明るく見えました。
今を読み解く/世界の魚争奪戦への行方
『日本の食卓からマグロが消える日』『マグロ戦争』『イワシが高級魚になった?ふしぎな海の生態系』の3冊についての書評。評者は東京海洋大学名誉教授の多屋勝雄*1。
僕は本を読むのと同じくらい書評を読むのが好きだが、この書評はいただけない。
何がダメかといえば、3冊取り上げているくせに、筆者の主張が全くないこと。3冊を読もうかなあ、と思っている人は、「今後、マグロを食べ続けられるのか」「魚も食べられなくなったら、日本の食糧事情はどうなってしまうのか」などの疑問を感じながら、東京海洋大学名誉教授の書評を読むわけだ。その疑問、読者の求めているものは、このテーマではほとんど自明。
それにも関わらず、それに対する態度を明らかにしない。正直言って、一読して、何を言っているかわからずに再読してしまった。(たとえば、隣の欄のボブ・ウッドワードの新作について書かれた書評では、本の内容の紹介のあとに、それに対する書評者の価値判断(本書で描かれるブッシュ像が適切かどうか)が、明確に書かれており、断然読みやすい。)
おそらく、大学院生かなんかに一冊ずつ渡して、「これの要約書いて」と頼んだ成果をそのまま繋いでいるだけではないか?
場末のブロガーの方がよほど、日経読者の興味を引く文章を書ける。
詩歌のこだま/資本主義最前線の歌人
外資系の証券会社に勤務する方の出した歌集の紹介。紹介されている歌が特に上手いとは思わないが、ビジネスマンが短歌をやる、というのは、なかなかかっこいいなあ、と憧れる。
ところで、このページが「詩歌・教養」欄であることに気付いた。「教養」は、右上のインタビュー「究める」の記事のことをさすらしい。ここを読んで、自分も教養を身につけよう(?)。
ネーチャーウォッチ・生態系乱す外来生物(3)/戻った清流に我が物顔
要旨
*1:海洋大学教授が「カツオ」というのはなかなか面白い