小林よしのり『ゴー外!!(1)』★★

共感できる部分もあるが、全体的にイージーな本という感想。低評価の理由は2点。
一点目は、形式。インタビュー形式を取っているが、時浦兼氏(よしりん企画)が、喋りすぎる。しかも、結局は身内であるため、馴れ合いはないにしても、小林よしのりのことを「よしりん師」と呼ぶなど、読んでいる方は恥ずかしい。
二点目は、取材方法。左右、マスコミ、政府、各種著名人から2ちゃんねるまで、いろいろな人を非難する、そのこと自体は、この人のやり方だからまあいい。しかしほとんどの情報ソースが、FRIDAYやら週刊文春やらで、独自のものがほとんどない。自分で信頼できない、といっているマスコミ(時に2ちゃんねる!)の情報を元に、政府等を非難するそのやり方には疑問。しかも、時浦兼氏が調べて、彼自身の解釈を加えて伝えたものに、小林よしのりが「へぇー、そうだったのか。それは・・・」というように感想的に意見を述べる形式が非常に多く、その程度の取材内容で、本にしてしまう、というのは、たとえ「外伝」的な本だとしても不満を感じる。(ゴー宣の読者には問題なく読めるのかもしれない。)綿密な取材を元に書いていることが読者にもよくわかる日垣隆などの著作と比べると、迫力に欠ける。
自らが運動に加わった経験を元に、市民運動の学生たちに「日常に戻れ」と説いた『脱正義論』は非常に面白かったが、あの本の面白さには到底届かない。ただ、いろいろと気づかされるところも多いので、もっと著作を読んでみたい。文庫大の著作が、新しいうちに沢山出るようなら買うのだが・・・。