小林よしのり『ゴー外!!①』

前回の人質事件を総括し、当時の人質バッシングや政府の動きを非難している、小林よしのり『ゴー外①』を読み始めた。
4月の日本人拉致事件の被害者(人質)は、ジャーナリストやボランティアであったが、3バカ5バカと散々に叩かれた。*1その後、同じくジャーナリストの橋田信介氏らが、武装勢力に攻撃されて亡くなった。昨年に戻れば日本人外交官二人が亡くなった事件もあった。
外交官なら○で、ジャーナリストなら×なのか?亡くなったら英雄で、生きて戻れば国賊なのか?いいジャーナリストと悪いジャーナリストがいるのか、いいボランティアと悪いボランティアがいるのか?どれか一つだけを取り上げて責めるというのはできないのではないか。小林よしのりの基本的な考え方はこんな感じだ。
その通りだと思う。例によって、本の内容には納得できないところも多いが、あのバッシングは勿論恥ずべきものだった。

日本には、社会から外れた人間を徹底的に攻撃するシステムがある。
また、そのイジメがあることによって、日本人はイジメられないように行動する。
そこで、日本人の勤勉さ、律儀さが成立している。
日本人の勤勉さ、誠実さ、というものは、日本人の内部から自立的に沸いてきたものではなくて、ただ日本社会で生きていくために、無理やりに身につけた表面的な態度なんだよ。
だから、日本人から日本社会を取り外すと、そこには何にも残らない(涙)。

id:worldtravellerさんが書くように、日本人の国民性が生んだものだったという説明もできるだろう。
 
しかし、今回の事件ではどうなのだろう?人質となっている香田証生さんがただの旅行者と知って、本当に呆れてしまう自分がいるが、「自業自得だから放っておけ」と聞くと、なんか違う気がする。ボランティアやジャーナリストや外交官ならOKで、24歳・無職はNGなのか?何だか、架空の世界で起こっている「人質事件」という名の倫理テストのレベルが段々上がってきているように思ってしまう。
やはり、事件の背景にあるイラク自衛隊派遣の是非に立ち戻る必要があるのだろう。しかし、やっぱりこればかりは勉強しないとなあ。
何はともあれ、残された時間は少ないようなので、何とか無事救出されることを望んでいます。

*1:僕も、文章でどう書いたか忘れましたが「叩いて」いた一人だと思います。